膜厚測定,分光測定,分光エリプソメトリー,スペクトル解析のテクノ・シナジー

生物発光のスペクトル測定

光ファイバー入力のCCD分光器を使用すれば,LED光源,プラズマボール,蛍光灯,ハロゲン光源などの発光スペクトルを簡単に測定することができます. ここでは,発光性を有する代表的なキノコであるヤコウタケを例に,微弱な生物発光のスペクトル測定について説明します.

ヤコウタケの生物発光スペクトル測定

ヤコウタケ(夜光茸,学名:Mycena chlorophos)は代表的な生物発光を有するキノコで,日本では小笠原諸島や八丈島に自生しています. 現在では,Web上でヤコウタケの栽培キットが販売されていて,家庭で栽培することもできます.

ヤコウタケ1図1 自然光で観察したヤコウタケ

プラスチック容器に種菌と腐葉土を入れ,多湿の状態を保つと3週間ほどで図1の状態まで成長します.

照明を落とすと,図2のように,緑色に光ります.

ヤコウタケ2図2 ヤコウタケの生物発光

図3は,ヤコウタケが成長するようすを撮影したタイムラプス動画です.

図3 ヤコウタケの成長

図4に光ファイバー入力のCCD分光器を使用した発光分光の装置構成例を示します.装置構成は単純です. 本図では,光ファイバーの先端にコリメーターを取り付けていますが,サンプルの発光面積が大きい場合,レンズを使わず光ファイバー端面をサンプルに近接して配置する方法を用いる場合もあります.

光ファイバー入力CCD分光器 図4 発光分光の装置構成例

図5にヤコウタケの生物発光スペクトルを示します.

ヤコウタケの生物発光スペクトル 図5 ヤコウタケの生物発光スペクトル

本測定では,CCD分光器の感度特性や光ファイバーの透過率特性は考慮していません. 発光スペクトルの縦軸精度,スペクトル形状を問題にする場合には,発光スペクトル測定に用いる装置校正で,NIST(National Institute of Standards and Technology,アメリカ国立標準技術研究所)準拠校正データ付きのハロゲンタングステン標準光源を使って感度校正する必要があります.


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