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UV光源のスペクトル比較
光ファイバー入力のCCD分光器を使用すれば,蛍光鉱石,生物発光,LED光源,蛍光灯,ハロゲン光源などの発光スペクトルを簡単に測定することができます. ここでは,比較的簡単に入手できる紫外領域の光源(UV光源)のスペクトルを測定して比較します.
殺菌灯(Hgランプ)のスペクトル測定
殺菌灯は,殺菌能力がある紫外領域の光を発する光源です. 水銀ランプ(Hgランプ)は石英ガラス管に水銀ガスが封入された放電管で,代表的な殺菌灯です.水銀の輝線スペクトルのうちでも波長:253.7nmの輝線が特に強く高い殺菌力を持っています.図1に測定に使用したHgランプを示します.
図2に光ファイバー入力のCCD分光器を使用した発光分光の装置構成例を示します. 装置構成は単純です. 光ファイバー先端をUV光源に向けて固定して測定しています. 波長;200nmの紫外領域から測定するため,紫外領域から測定できる広帯域CCD分光器:QEProHCを使用しました. また,光ファイバーには紫外領域の透過率が高いUV/VISタイプを用いてます.
図3に,Hgランプの発光スペクトルを示します. 太陽や白熱電球のように,ある波長範囲で連続分布したスペクトルを連続スペクトルと呼ぶのに対して,図3のように,とびとびの波長に不連続な輝線を含むスペクトルを線スペクトルといいます.
波長:253.7nmが特に強い発光線であることが分かります.
なお,図3では波長:253.7nm以外の輝線スペクトルを見やすくするために,253.7nmのピークをわざと飽和させて測定しています.
殺菌灯(UV-C LED)のスペクトル測定
近年,紫外領域で発行する発光ダイオード(LED)が開発され,特に深紫外のUV-Cと呼ばれる波長領域(波長:280nm未満)で発光するLEDは殺菌灯として利用されます.
実験には,ナイトライド・セミコンダクター社製深紫外LEDを搭載したUV殺菌機を使用しました.図4にUV殺菌機の深紫外LED部を示します.
図5に,UV-C LEDの発光スペクトルを示します.
本UV殺菌機に使用されている深紫外LEDの発光中心波長は,波長:274nmであることが確認できました.
紫外LEDのスペクトル測定
顕微鏡の蛍光励起光源として入手した日亜化学製紫外LED(波長:365nm)の発光スペクトルを測定しました.
図6に顕微鏡用紫外LED光源の外観を示します.
図7に,紫外LED(波長:365nm)の発光スペクトルを示します.
懐中電灯型紫外LEDのスペクトル測定
懐中電灯型の紫外LEDがインターネットなどで販売されています.懐中電灯型紫外LEDは,鉱石の蛍光を確認するなどの理科実験に利用されます. 図8に発光中心波長が異なる2種類の懐中電灯型紫外LEDを示します.
図9,図10に,懐中電灯型紫外LEDの発光スペクトルを示します.
青色レーザーポインターのスペクトル測定
レーザーポインターは,比較的安価に,いくつかの波長のものが入手できるので,光学実験に最適です. ここでは,波長:405nmの青色レーザーポインターのスペクトルを測定します.
図12に,青色レーザーポインター(波長:405nm)の発光スペクトルを示します.
LEDに比べ,レーザーは線幅が非常に狭いという特徴があります.
歯ブラシ用殺菌灯のスペクトル測定
最後に電動歯ブラシ用の殺菌灯の発光スペクトルを測定しました.この殺菌灯も水銀ランプを使ったものです.
図14に,歯ブラシ用殺菌灯の発光スペクトルを示します.
基本的に,図3に示したHgランプと同様の線スペクトルです.
発光スペクトル比較
図15でUV光源の発光スペクトル形状を比較します.
近年,UV領域においても様々な波長の光源が入手可能になりました. 特にLEDの多様化は目を見張るものがあります.LEDの場合,発光中心波長は,10nm程度の範囲でバラツキがあり,個別にスペクトル測定しないと正確な発光中心波長は分かりません.
本測定例のように,CCD分光器を中心に測定系を組めば,お手軽に発光スペクトルを測定することができます.
- ファイバマルチチャンネル分光器 FLAME
- 電子冷却裏面入射型高S/Nファイバマルチチャンネル分光器 QEPro
- プレミアムグレードパッチコード光ファイバー
- 広帯域光ファイバーコリメーター BBFC-03SMA
- 簡易反射ステージSS-Rシリーズ