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膜厚測定システム
スペクトル解析ソフトウエア SCOUT
SCOUTは,透明膜,吸収膜,多層膜など薄膜サンプルの分光測定スペクトルから,膜厚,光学定数を求めるスペクトル解析ソフトウエアです.透過率,反射率,吸収,ATR,エリプソメトリー,フォトルミネッセンスなどのスペクトルデータと,光学モデルをベースにしたシミュレーションとのフィッティング解析から,サンプルの膜厚や光学定数などを決定します.振動子モデルで光学定数を記述するため,多種多様な膜材料に対応でき,豊富な誘電分散モデルと光学定数ライブラリー,柔軟な光学モデル記述,スマートなフィッティングストラテジーにより,あらゆる波長領域における解析が可能です.
特 長
- 真空紫外からテラヘルツ領域に至る広い波長範囲のスペクトルに対応
- 透過率,反射率,吸収,ATR,エリプソメトリー,フォトルミネッセンス,
エレクトロルミネッセンスなどのスペクトル解析が可能 - 任意のスペクトルの組み合わせで同時フィッティング解析が可能
- 膜の層数に制限が無く,層構造の異なる複数サンプルの同時解析が可能
- MS Word,MS Excel,LabVIEW,Windows Scripting Hostなどの
OLEオートメーションコントローラを使ったSCOUTの自動処理が可能 - 分光系ハードウエアと組み合わせることで膜厚測定システムを構築
スペクトルフィッティング解析の流れ
スペクトルフィッティング解析は,サンプルの光学モデルを基に計算されるシミュレーションスペクトルと測定スペクトルをフィッティングすることにより,膜厚や光学定数などのサンプルパラメーターを決定する解析法です.スペクトルフィッティング解析では,光が入射することで物質が応答するという因果律(K-K関係)によって物質の光学定数( n , k )が決定されることを基本にして,分光スペクトルに含まれる材料物性情報の定量的な解析を行います.
光学モデルの概要
膜の光学定数に誘電分散モデルや光学定数ライブラリーを用い,その積層構造としてサンプルを記述します.測定スペクトルに対してシミュレーション結果のフィッティングを行い,膜厚,光学定数などのパラメータを決定します.
■ 誘電関数モデル(光学定数モデル)
Drudeモデル(フリーキャリア),拡張Drudeモデル(周波数依存キャリアダンピングを持つフリーキャリア),調和振動子モデル,Brendelモデル,Kimモデル,OJLモデル,Campi-Coriassoモデル,Tauc-Lorentzモデル,Cauchyの分散式などの近似式,ユーザー定義誘電関数,各種文献データベース(300種類以上の誘電関数/光学定数スペクトル).
■ 不均質膜を記述する有効媒質近似
Maxwell Garnettモデル,Bruggemanモデル,Looyengaモデル,Bergman表記.
■ 層構造内の光の伝搬
コヒーレント/インコヒーレント属性設定,ラフインターフェースにおける散乱ロスの補償,入射偏光選択,膜厚の面内不均一性を測定領域内で平均化,超格子構造の記述,光学定数などのデプスプロファイリング,光学異方性媒質の記述,測定ビームの入射角分布エミュレーション,分光器の波長分解能エミュレーション.
スペクトル測定解析例
● BK7基板上のTa2O5膜
反射率スペクトルのスペクトルフィッティング解析から,膜の光学定数,膜厚を求めることができます.左図に,BK7基板上に成膜されたTa2O5膜の測定反射率スペクトルと光学モデルから計算されたシミュレーションスペクトルのフィッティング結果を示します.得られた収束パラメーター値から,膜厚:789.3 nmと屈折率( n , k )の波長分散スペクトルが得られます.
● シリコン基板上の誘電体光学薄膜
数十nm程度の膜厚があれば,反射率スペクトルから膜厚,屈折率を決めることができます.光学薄膜では光学膜厚 nd = λ/4 が基本なので,分光スペクトルのフィッティング解析で実用的な膜厚・光学定数測定精度が得られる膜厚です.
● 誘電体多層膜(ダイクロイックミラー)
石英基板に成膜されたダイクロイックミラー(Ta2O5 / SiO2交互積層膜19層)のスペクトルフィッティング結果です.スペクトル解析ソフトウエアSCOUTは,多層膜を始めとする高度な膜解析に柔軟に対応できます.