膜厚測定,分光測定,分光エリプソメトリー,スペクトル解析のテクノ・シナジー

誘電関数って何だ?

誘電関数って何だ?

本講座は,光物性の入門講座です. 光の伝搬,屈折や反射といった最も基本的な光の振る舞いを記述することから初めて,光と物質の相互作用,Lorentzモデル,Drudeモデルの誘電関数にいたるまでの光物性に関する基礎について解説します. 基本概念の説明,基本式の導出など一般的な教科書では省略されがちな内容も記述するよう心がけました.

※ 本講座は,液晶学会誌「液晶」に連載された講座記事(2012年7月号,2012年10月号,2013年7月号,2013年10月号)をWeb公開用に改変しカラー化したものです.本資料の全部または一部について無断で転載, 複写複製, 電子的装置への入力等は,ご遠慮願います.

はじめに

本講座では,光の伝搬や屈折など最も基本的な光の振る舞いから分光計測に欠かせない誘電関数の基礎に話題を絞り,「光は波として振る舞い,電荷は光の電場に対しては古典力学応答する」いわゆる古典光学の立場で解説していきます.古典光学と聞いて,「いまさら古典!?」と侮らないでください.分光計測で取り扱う透過,屈折,反射,干渉,回折といった光の伝搬に関する光学現象は,古典光学で十分精密に記述でき,誘電体多層膜を始めとする光デバイスの設計・評価は,実際,ほとんど全て古典光学で行われています.古典光学は,その名前に反して非常にエレガントで,最も実用的な光学なのです.本講座を通じて,みなさまにエレガントで実用的な光学の世界をお楽しみ頂ければ幸いです.

文献値から求めた銀の反射率スペクトルと誘電関数モデルシミュレーション
文献値 [1] から求めた銀の反射率スペクトルと誘電関数モデルシミュレーション

なお,本講座では,できるだけ,光学現象の物理的イメージと数式の意味とを関連付けて解説しましたが,紙面の都合で割愛した部分も多いため,総合的な理解のためには,参考書 [2]〜[6] などでフォローされることをお勧めいたします.

[1] E.D. Palik (editor): "Handbook of Optical Constants of Solids", Academic Press, New York (1985)
[2] 大津元一監修, 田所利康・石川謙著:「イラストレイテッド光の科学」, 朝倉書店 (2014)   >> 書籍紹介ページへ
[3] 田所利康:「ビジュアル解説 光学入門」, 朝倉書店 (2024) >> 書籍紹介ページへ
[4] E. Hecht: "Optics 5th ed.", Pearson Education (2016),
     〈訳書〉尾崎義治,朝倉利光訳:「原著5版 ヘクト 光学 I, II」, 丸善 (2002)]
[5] 江馬一弘:「光物理学の基礎」, 朝倉書店(2010)
[6] R. P. ファインマン他:「ファインマン物理学 II, III, IV」, 岩波書店(1991)

※ ここでは,高度な教科書は避け,通読できる本を,内容が平易な順にリストしました.

目次

テクノシナジーの膜厚測定システム
膜厚測定 製品ラインナップ
膜厚測定 製品ラインナップ
Product
膜厚測定 アプリケーション
膜厚測定 アプリケーション
Application
膜厚測定 分析サービス
膜厚測定 分析サービス
Service
ページの先頭へ