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光学用語解説:【さ行】

光学用語解説

【さ行】

散乱 scattering

物質に入射した光によって誘起された電気双極子からの放出される建機双極子放射を散乱または光散乱と呼びます. 散乱には,散乱光の波長が入射光の波長に等しい弾性散乱,光と物質がエネルギー交換するために散乱光の波長が入射光の波長と異なる非弾性散乱があります.

レイリー散乱 ( Rayleigh scattering ) : 弾性散乱の一つ.光の波長より十分に小さいサイズの粒子(波長の数十分の一以下)による散乱. 電気双極子放射相互の干渉が無視できる程度に希薄な大気中の気体分子などによる電気双極子放射が,散乱として観測されます. 空が青く見えるのは,レイリー散乱のためです.

ミー散乱 ( Mie scattering ) : 弾性散乱の一つ.粒子サイズが波長に対して無視できない場合の散乱. 位相がずれた電気双極子振動の集合体として電気双極子放射光を放ち,電気双極子放射光同士が干渉するために,粒子のサイズや形に依存する複雑な放射パターンになります. また,数〜数10µm の粒子が起こすミー散乱では,波長依存性が低下して,可視領域の光はほぼ同程度の強度で散乱されます. 雲が白く見えるのは,雲を構成する水滴によるミー散乱のためでです.

レイリー散乱とミー散乱
レイリー散乱とミー散乱
レイリー散乱による青い空とミー散乱による白い雲
レイリー散乱による青い空とミー散乱による白い雲

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ジョーンズ行列 Jones matrix

ジョーンズベクトル Ei で表される偏光ビームが,ある光学素子に入射したときに,光学素子から新たな偏光状態のベクトル Et が出射されたとします.

偏光のジョーンズベクトル表示
偏光のジョーンズベクトル表示

この光学素子による入射偏光 Ei から出射偏光ベクトル Et への変換は,ジョーンズ行列 (Jones matrix) と呼ばれる 2 × 2 行列を用いて数学的に記述できます. 光学素子のジョーンズ行列を A と表すと,光学素子による偏光の変換過程は,

ジョーンズ行列c

と書け,展開すると次のように書き下せます.

ジョーンズ行列d

等方性媒質の場合,対角成分a11, a22のみが値を持ち,非対角成分は 0 になります.

ジョーンズ行列d

つまり,等方性媒質に入射された偏光のx 成分は x 成分のまま, y 成分は y 成分のまま出射されます. しかし,光学異方性媒質の場合は,座標軸に媒質の光学軸を合わせて非対角成分が 0 となるようにしない限り,ジョーンズ行列の各成分は値を持ちます. すなわち,光学異方性媒質では,一般的に入射偏光の x 成分 ( y 成分) は出射光の x 成分と y 成分に振り分けられることになります.

→ 執筆書籍紹介|『ビジュアル解説 光学入門』

→ 徒然「光」基礎講座|光学異方性媒質中の光の伝搬

ジョーンズベクトル Jones vector

アメリカの物理学者ジョーンズ(R.C. Jones)によって考案された,直交する電場 Ex と Ey から定義される行列で偏光を記述する方法です. 任意の偏光状態は,直交する基本的な2 つの偏光のベクトル和として表せます.偏光状態は,光強度によらず,位相差 δ と Ex , Ey の振幅比 Ex = Ey で決まるため,ジョーンズベクトルでは光強度を 1 に規格化します.

偏光のジョーンズベクトル表示
基本的な偏光状態のジョーンズベクトル表示

→ 執筆書籍紹介|『ビジュアル解説 光学入門』

→ 徒然「光」基礎講座|光学異方性媒質中の光の伝搬

振動子 oscillator

振動する系を「振動する」という性質だけに注目した場合,振動子と呼びます.平衡状態を中心とした往復運動を振動といい,平衡状態(振動中心)からの変位量に比例した復元力によって生じる一定周期,一定振幅の振動運動を調和振動(単振動)といいます. 振動が単振動の場合には調和振動子,そうでない場合は非調和振動子といいます. 例えば,バネに吊された重りや振り子は,振幅が小さい場合,よい近似で調和振動子と見なせます.
→ 調和振動子
→ Lorentz振動子

振幅 amplitude

振動運動における振動中心から最大変位までの距離を振幅といいいます. 調和振動を y = A cosφ と表すと,式中の A が振幅です.

振幅
振幅

振幅透過係数 amplitude transmission coefficient

→ フレネルの式

振幅反射係数 amplitude reflection coefficient

→ フレネルの式

スネルの法則 Snell's law

光が屈折率 ni の媒質から屈折率 nt の媒質に入射して屈折する場合,屈折光の進行方向は入射面内に含まれ,入射角を θi ,屈折角を θt としたときに, sinθi / sinθt = nt/ni が入射角によらず一定であるという法則です. スネルが実験的に見出した法則なのでこの名が付きました.この関係は2つの媒質中を伝播する光の位相速度 vi , vt の違いにより生じていて,屈折率比 nt / ni と位相速度比 vi / vt は等しくなります. 屈折の法則とも呼ばれます.

スネルの式 スネルの法則:空気-水海面の場合
スネルの法則:空気-水界面の場合

→ 執筆書籍紹介|『ビジュアル解説 光学入門』

スペクトル spectrum

横軸に光の波長や周波数をとり,それぞれの波長や周波数における透過率 / 反射率 / 発光強度などを縦軸にとった図をスペクトルと呼びます. 光源のスペクトル,発光スペクトル,透過率 / 反射率スペクトルなど,光強度の波長分布,周波数分布を問題にする場面では,非常によく使われます. 縦軸が強度ではない分光画像もスペクトル(写真)と呼びます.

連続スペクトル ( continuous spectrum ) : 固体または液体の熱放射のスペクトルなど,ある波長範囲にわたり連続的にあらわれるスペクトルを連続スペクトルといいます.

連続スペクトルの例:シリカ電球
連続スペクトルの例:シリカ電球

線スペクトル ( line spectrum ) : 原子が光放射または光吸収するときに見られる線状のスペクトルです. 放射によるものを輝線スペクトルともいいます.

線スペクトルの例:水銀ランプ
線スペクトルの例:水銀ランプ

スペクトル画像: 横軸に光の波長(周波数)を取って波長(周波数)ごとの光強度を画像として表したもの.

スペクトル画像の例:水銀ランプと蛍光灯
スペクトル画像の例:水銀ランプと蛍光灯

 

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