SCOUT講座1 「コンピュータシミュレーションによる光学スペクトル分析」 (2/13)
1.タイトル
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図1
2. なぜスペクトルシミュレーションを使うのか?
2.1 あらまし
物理的モデルに基づくコンピューターシミュレーションを用いた光学スペクトル解析は, 分光エリプソメトリーにおける標準的な解析手法となっています. しかし, 反射率スペクトル, 透過率スペクトルの解析では, まだ十分に確立された手法であるとは言えません. この手法をスペクトル解析に適用するのには, いくつかの理由があります.
- 多層膜の積層構造の場合, スペクトルシミュレーションに代わる有力な解析手段がない.
- 古典的で単純なスペクトル解析法では, 通常, 稚拙で非合理的な仮定 (例えば, 「全スペクトル領域で膜の屈折率を1.5と仮定する」など) を必要とするが, スペクトルシミュレーション解析では, そのような仮定を回避することができる.
- スペクトルシミュレーションで分光装置のクオリティーをチェックすることができる.
- スペクトルシミュレーションは, 分光学, 光学を教えるための理想的な教材である.
- 良好に動作するスペクトルシミュレーションを使えば, 薄膜製品の理想的な光学特性デザインを予測できる.
2.2 多層膜積層構造 (他に解析手段がない)
多層膜積層構造の場合, スペクトルシミュレーションに代わる解析手法がありません. 物理的なモデルに基づく方法でのみ, 複雑なスペクトル特性を理解することができるのです. 図2に示す例では, シリコン上の 11 層積層膜の測定反射率スペクトル (赤) と対応するシミュレーションスペクトル (青) の比較を示しています.
図2
一つの層 (黄色にマークされた第5層) の膜厚を 10 nm 増加させただけで, 図3のように複雑なスペクトル変化が生じます. このように複雑なスペクトルは, 信頼性の高い物理モデルによってのみ扱うことが可能となります.
図3