膜厚測定,分光測定,分光エリプソメトリー,スペクトル解析のテクノ・シナジー

スペクトル解析ソフトウェア SCOUTユーザーのための技術情報スクエア SCOUT倶楽部

SCOUT講座1 「コンピュータシミュレーションによる光学スペクトル分析」 (4/13)

2.5 スペクトルシミュレーションは非常に教育的

スペクトルシミュレーションソフトウエアを使用することで, 「次のような変化を与えた場合, 何が起こるか」を簡単に試すことができます.
  • 膜厚を変化させる
  • 異なる基板を用いる
  • 入射角を変える
  • 偏光子を使用する
  • 表面酸化膜を加える

実験的な努力やコストをほとんど掛けずに, これらを全て調べることができます.


次の例 (図6) は, 電荷キャリア (電子, ホール) の光学特性がキャリア濃度やダンピング係数などの関連パラメーターをインタラクティブに変化させることで, どのように説明できるかを示しています.
※本 Web セミナーでは, インタラクティブにパラメーターを変化させることはできません.
図6図6

2.6 薄膜デザインの事前予測としてのスペクトルシミュレーション

単層もしくは複数層サンプルの測定スペクトルをうまく分析すると, 信頼性の高い薄膜デザインを事前予測することができるかも知れません. もし, 使用している材料の光学定数が既知で, 多層膜の界面効果が分かっていてモデルに組み込み済みならば, 最低限の実験作業で, 新しい薄膜製品の特性を予測してデザインすることができます. 薄膜のデザインは, 薄膜の解析と非常によく似ています. まず, 目標となる機能 (例えば, 所望の反射率スペクトル, ある色度, または全透過率) を定義します. そして, 各層の膜厚などのモデルパラメーターを目標に到達するまで (自動的またはインタラクティブに) 変化させます.
例として, 光学フィルター (ダイクロイックミラー) の透過率スペクトルおよび 45°入射反射率スペクトルを図7に示します. この積層膜の役目は, カラーディスプレイディバイス中で波長 550 nm を境に放射光を分離することです.
図7図7

スペクトルシミュレーションは, 建築用ガラスコーティングの設計, 最適化に広く利用されます. スパッタされる酸化物や金属に対する正確な光学定数モデルをベースにすることで, 窓ガラス上の多層膜コーティングの「色味」を高い精度で予測することができます. 次の例は, いわゆる "ソーラー・コントロール・コーティング" の測定スペクトルとシミュレーションスペクトル, そしてそれらに対応する色度座標を示しています (図8) .
:コーティングデザイナー CODE の解析画面図8:コーティングデザイナー CODE の解析画面

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