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SCOUT講座1 「コンピュータシミュレーションによる光学スペクトル分析」 (6/13)

透明膜の場合, 位相シフトはスペクトルに干渉フリンジを発生させます.
図12図12
多層膜構造の振幅反射係数, 振幅透過係数は, 特性マトリクス法 [5, 6] を用いるか, 図13に示すように基板から1層ずつ順番に単層のフレネル係数計算 (図11に示した等比級数計算) を再帰的に適用することで求めることができます [7] . また, ガラス基板のような厚膜では, 各部分反射光の位相が波長よりも大きく揺らいでいるため, スペクトル上に干渉フリンジが生じません (非干渉光の重ね合わせ) . 再帰的なフレネル係数計算法は, このような厚膜の場合にも, 容易に拡張することができます.

[5] H.A. Macleod (著), 小倉繁太郎・中島右智・矢部孝・吉田国雄 (訳):「光学薄膜」, 日刊工業新聞社 (1989).
[6] 小檜山光信:「光学薄膜の基礎理論」, オプトロニクス社 (2003) p.74.
[7] 田所利康:「ビジュアル解説 光学入門」, 朝倉書店 (2024) p.143.

図13図13

照射ビームスポット内で膜厚に不均一性がある場合, 異なる膜厚値に対する反射率値を平均化する必要があります. 膜厚分布のフーリエ変換が解析的に計算可能ならば, この平均化は大した苦労もなく計算することができます. ここでは, ガウス型膜厚分布を例に, 膜厚の平均化が干渉パターンの包絡線に与える影響を示します (図14) .
図14図14

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