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SCOUT講座1 「コンピュータシミュレーションによる光学スペクトル分析」 (9/13)

4.3 振動子モデル

原子核の質量と電気双極子の復元力 (バネ定数) の強さに依存する共鳴周波数を持つ振動モードは, 赤外領域に物質の「指紋」を残します. 物質の「指紋」は, 化学産業分野における物質の同定に数多く応用されています.
3つのパラメーターを持つ調和振動子 ( harmonic oscillator ) 項を足し合わせることで, ラフなスペクトル記述を行うことができ (図19) . 3つのパラメーターとは, すなわち, 共鳴周波数, ダンピング係数 (共鳴吸収バンドの半値幅を決定します), そして振動強度 (微視的な振動子の濃度に比例します) です.
図19図19

もし共鳴吸収バンドのスペクトル形状がローレンツ分布 ( Lorentzian ) ではない場合, 調和振動子モデルを拡張する必要があります.
図20図20
図20に示した, いわゆる Kim モデル [8] は, 第4の振動子パラメーターにより, ガウス分布, ローレンツ分布いずれの形状を持つ吸収バンド, 両者の中間形状を持つ吸収バンドを記述することができます.

[8] C. C. Kim, J. W. Garland, H. Abad, P.M. Raccah: Phys. Rev. B 45 (20) (1992) pp.11749-11767.


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