膜厚測定,分光測定,分光エリプソメトリー,スペクトル解析のテクノ・シナジー

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SCOUT講座1 「コンピュータシミュレーションによる光学スペクトル分析」 (13/13)

サンプルへの照射光の入射角を変えることで, サンプル内における光の電場方位を変えることが可能です. 図30に示した例は, 1 つの振動子でモデル化したシミュレーションデータのデモで, 入射角の変化に伴い, 基板上の配向分子層の反射率スペクトルがどのように変化するかを示したものです. 複数入射角で測定されたスペクトルを同時にフィッティングすることで, 分子方向の方位角を決定することができます.
図30図30

ここで, 実際の分子配向の解析例を見てみましょう. シリコンウエハ上のペリレン ( Perylene ) 分子膜に対して測定された複数入射角の赤外反射スペクトルを同時にフィッティングします (図31) . それぞれの振動モードについて, シリコン基板面の法線方向に対する配向角を決定することができました. 最終的に, この配向角情報から分子配向方位を推定しました.
図31図31

次に, 異なる入射角, 異なる偏光方位で測定された 8 つの反射率スペクトルを使った, メタル基板上のポーラスポリマーの解析例を示します (図32) . ポーラスポリマー層のトータルの膜厚に加えて, ポーラスポリマー層を仮想的に 5 つに分割した各サブレイヤーに対するポリマーの体積分率 (f1, ・・・, f5) をそれぞれ独立にフィッティングしました. これら 8 つのスペクトルは, 密度の深さプロファイルをユニークに決定するのに十分なスペクトル情報を含んでいます.
図32図32

最後に, 反射率スペクトルとエリプソメトリーを組み合わせた解析例を示します (図33) . 窒化シリコン ( SiN ) 膜の光学定数も, 膜厚と同様に決定されます. 光学モデルの誘電関数には, OJL モデルを使用しました. エリプソメトリーと反射率の両者は, SiN 層の膜厚値に若干の違いはあるものの, 非常に良好なフィッティング結果が得られています. 両解析における膜厚値の違いは, 両者が全く同一の測定領域で測定された訳ではないことに起因します.
図33図33

SCOUT講座「コンピュータシミュレーションによる光学スペクトル分析-その基礎からバッチモードまで- 」は以上です。

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