膜厚測定,分光測定,分光エリプソメトリー,スペクトル解析のテクノ・シナジー

分光エリプソメトリーとは: 8. 分光エリプソメーター

分光エリプソメトリーとは?

8. 分光エリプソメーター

8.1 測定方式

偏光解析パラメーター Ψ , Δ を測定する装置をエリプソメーター ( ellipsometer ) と呼びます. エリプソメーターは, その測定機構上, 大きく消光法 ( null ellipsometry ) と測光法 ( photometric ellipsometry ) に分けられます.
消光法は, 直交ニコル ( crossed Nicols ) の偏光子配置で, 検光子の透過光量が 0 になる消光状態を利用し, プローブ光の偏光状態を測定します. 具体的には, 偏光子と λ / 4 板を用いて試料からの反射光が直線偏光になる入射楕円偏光を作り, 検光子通過後の光が消光するように検光子を回転させて, Ψ, Δ の測定を行います. 消光法は, 測定分解能が高い反面, 操作が煩雑で, 測定に長い時間を要するという欠点があります.また, 測定に λ / 4 板を用いるため, 基本的に分光エリプソメトリーには向きません.
一方, 光学系を消光状態にせず, 検光子通過後の光強度をそのまま測定する方法を, 消光法に対して測光法と呼びます. 測光法には, 偏光素子を機械的に回転させる回転検光子型 ( rotating analyzer ) および回転補償子型 ( rotating compensator ), 光弾性変調器を用いた位相変調型 ( phase modulation ) などがあります. 現在, 市販されている分光エリプソメーターのほとんどが, 測光法を採用しています.
分光エリプソメーターでは, Xe ランプなどの白色光源と分光器を用いてスペクトル測定を行います. 最近, 検出器にフォトダイオードアレイ ( PDA: photodiode array ) を用いて分光測定の高速化を図った装置がポピュラーになってきました.

図8-1 にPDAを検出器に用いた代表的な測光法分光エリプソメーターの偏光素子配置を示します.

図8-1 代表的な分光エリプソメーターの偏光素子配置
図8-1 代表的な分光エリプソメーターの偏光素子配置

これらのエリプソメーターは,通常,光が透過する順に偏光素子の記号を並べて測定法を表します. 例えば, 回転検光子型:PSAR は, P が偏光子, S が試料, A が検光子を表し, A に付いている添え字 R は検光子が回転していることを示しています.
PSAR は, 装置構成が比較的簡単で, 現在広く使用されています. PSAR では, 偏光状態を記述する 4 つのストークス・パラメーターのうち S3 が測定されず, 楕円偏光の右回り / 左回りを区別することができません. そのため, Δ の測定領域は全領域の半分 ( 0°< Δ < 180°) となります. また, 同様の理由で, Δ が 0° および 180° 付近の領域で, Δ の決定精度が悪化します.
PSCRA は, 現在市販されている装置の測定方式としては最新型です. PSCRA では, Ψ, Δ の全領域で精度むらなく測定を行うことが可能です.
分光エリプソメトリーの代表的な測定法についてまとめます.

図8-2 代表的な分光エリプソメトリー測定法
図8-2 代表的な分光エリプソメトリー測定法

8.2 装置構成

図8-3 に,代表的な測定方式である回転検光子型分光エリプソメーターの基本構成を示します.

図8-3 回転検光子型エリプソメーターの装置構成
図8-3 回転検光子型エリプソメーターの装置構成

回転検光子型は,構成が比較的簡単で精度が出しやすく,市販装置にも広く採用されています.分光エリプソメーターでは,ハロゲンランプなどの白色光源と分光器を用いて, Ψ, Δ のスペクトル測定を行います. 最近は,フォトダイオードアレイ(PDA: photodiode array)検出器を用いて高速分光測定するのが一般的です.
図8-4 に回転検光子法における検出信号である規格化光強度の時間変化の概要を示します.

図8-4 回転 検光子法における規格化光強度の時間変化
図8-4 回転 検光子法における規格化光強度の時間変化

回転検光子型の場合,既知の偏光(典型的には, p 偏光と s 偏光に同じ振幅と位相を与える 45° 方位の直線偏光)を入射し,試料からの反射楕円偏光を回転検光子によって正弦波に変調し,その検出光強度の規格化フーリエ係数から各波長の Ψ, Δ を測定して, Ψ, Δ スペクトルを求めます.

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